心の平和を目指そう(お話)

皆さん、こんにちは。暑い夏でしたが、お元気に過ごされましたか?そして、8月末は大雨が降り、川の氾濫などで多くの水の被害が各地でありました。皆様のご健康とお幸せを毎日、心を込めて祈ります。

さて、今回は「心の平和」についてお伝えします。人は「幸せになりたい」と思って生きているものです。しかし、便利な生活ができる、美味しいものが食べられた、欲しいものが手に入った、そのような外的な要因で幸福を感じていると、「幸せ」は一時的なものになり、「まだまだ」という欲望ばかりが大きくなり、いつも不足の思いで「幸せ」を追いかけ続けなくてはいけません。

そこで、立ち止まってよく考えてみると、今の私たちは住まいあり、電化製品あり、毎日の食事ありの十分に文化的で豊かな生活をしています。さらに、今の日本は戦争のない平和な国です。それでも幸せな思いにならないなら、人が求める真の「幸せ」はそこではないということです。それは外的要因で上がったり下がったりする幸せではなく、いつも安定している「心の平和」が必要です。

私の尊敬するダライ・ラマ14世法王は、次のように言っています。

「いくら欲望が満たされても本当の『幸せ』にはたどり着けない。それはもう20世紀の歴史が証明してくれました。欲望を追及し、人と争い、挙句の果てに戦争まで起こしても、私たちは幸せになるどころか、ますます苦しくなり、世界は最も悲惨な姿になってしまった。・・・この事実に気づいた私たちは、今こそ反対の教え方へと転換するべきです。他人に思いやりを持ち、広い視野で物事を見つめる。利他的な行動をとり、自分が今持っているもので満足する。・・・そうすれば、渇きや争いから解放され、心が平穏になることを感じるでしょう。・・・刺激による心の高まりとは違う、静かな『心の平和』です。これこそが、私たちが追い求めてきた『幸せ』の本当のありようだったのです。」(「傷ついた日本人へ」ダライ・ラマ14世著)

「嬉しい、楽しい、幸せ、ありがとう、感謝しています」という思いで心がいっぱいになった時に、心の中から欲望や苛立ちが消えて、平和が訪れます。そういう思いになるためにはどうしたらいいのでしょうか。

一つ目は、自分の中の愛と慈悲の心を外に向かってどんどんと出すことです。まず最初に自分自身に優しい愛の言葉をかけて下さい。自分が自分の一番の理解者になるのです。そうすると、自分の中の愛と慈悲の心が大きくなって、今度は家族に、周囲の人に、動物や、生きとし生けるもの全てに向かってどんどん出していけるのです。そして利他の心で行動すると、さらに幸せな気持ちが大きくなります。

二つ目は、自分がこの世に誕生してから今まで頂いた、たくさんの愛や物質的なものに心を向けて、それを数え上げてみることです。人は縦と横の縁の中で、愛され助けられながら「今」を生きているのだと思います。心から感謝です。

そのようなことを毎日積み重ねていくと、あら不思議、心が安定してきて、気が付くと心が平和になり心の中が幸せいっぱいになっています。

やはり愛と慈悲と感謝の力は、この宇宙の最大のパワーですね。それを心の中で大きくしていけば、絶対に幸せになります。

今日から、会った人に笑顔と優しい思いと言葉と行動を差し出して、愛と慈悲の心のパワーアップを心がけましょう。そして頂いた優しさに感謝をすることも忘れないようにしましょう。一人一人のその力は、波紋のように広がり、平和な社会、平和な世界へと繋がっていくこと
でしょう。つまり、世界の平和の実現には、個々の「心の平和」の結集しかないのです。

ダライ・ラマ14世法王は、これからの子供の教育には精神を育てる教育、宗教の有る無しに関係がなく「倫理観」をきちんと育てることが大切と、言われています。優しくて思いやりのある心、それは子供達一人一人のために、そして世界が真の幸せを得るために必要だということです。

実際のところ、今は世界中、日本中で、問題が山積みです。今すぐには難しいかもしれませんが、まずは私達大人が、「心の平和」を手に入れて、笑顔で一歩一歩、愛の地球を目指して歩んでいきませんか。

2019年  9月     鴨川美津恵