「夜と霧」の本を読んで(お話)

ヴィクトール・E・フランクル著の「夜と霧」を読まれたことがありますか?

今回、図書館で新訳(池田 香代子訳)の本が目に入り、読んでみることにしました。
今まで避けていたけれど、気になっていた本です。
悲しみの世界に踏み込むことが辛くて、今まで手に取ることができませんでした。

しかし、今回は引き寄せられたように、その本は私の目の前にありました。

その内容は、心理学者のフランクル氏自身が強制収容所で体験したことを書いているだけではなく、 そのような状況の中でも人は自分の生き方を決定することができるという人間の素晴らしさについても書いています。

私は、そこに強く引かれました。

強制収容所で衣食住の全ての自由をうばわれても、精神的自由だけは誰もうばうことはできないということです。

被収容者は極限状態の中で生きていましたが、そのような中でも自分より弱っている人に自分のパンをそっと渡したり、 優しい声をかけた人がいたのです。

また、強制収容所で亡くなった、ある一人の女性は、死を目の前にしていたにもかかわらず、実に晴れやかな気持ちで、 「この運命があったからこそ、自分の内面性を深めることができた。」と感謝さえして、病室の外に見える木から 「いのちは永遠である」ことも学んでいました。

さらに、再び愛する家族との生活を夢見たり、外へ出たら前に行っていた研究の続きをすることを楽しみにしている人達は、 希望を捨てなかったので、心を前向き に保つことができ、それは最後まで生き残ることにつながりました。

私はこの本から次のことを学びました。

人はどのような状況に追い込まれたとしても、

  1. 自分と他者の尊厳を守り、愛のある行動を選ぶ
  2. いのちは永遠であることを知って、今を生きる
  3. 希望を持ち続ける

その3点を忘れなければ、大丈夫。
そうすれば、いつだって人は自分らしく輝いて生きていけるのではないでしょうか。

でも、やっぱり平和が一番です。
みんなで世界の平和を願って、一人ひとりの心の平和を願って、それを引き寄せるために笑顔で毎日を過ごしましょう。

著者の言葉

人間とは何者か。人間とは何かを常に決定する存在だ。人間とはガス室を発明した存在だ。しかし、同時にガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。

鴨川美津恵