他者との向き合い方(お話)

皆さん、こんにちは。5月に入りましたね。

新型コロナウイルスの影響で、心が沈む時も、色とりどりの花や若葉の自然の美しさは、私たちの心を癒し、プラスのエネルギーをたくさん与えてくれています。心から感謝です。

さて、今回で3回目となりますが、続いてマルクス・アウレリウスの「自省録」からお伝えします。
対人関係は悩みの源泉であり、不幸の源泉でもあります。しかし、生きる喜びや幸福も人との関係の中で得ることができます。
アウレリウスも、宮廷内での対人関係で心を痛めることが多くありました。しかし、彼は自分に次のように言い聞かせます。

「過ちを犯す者をも愛することは、人間に固有のことだ。それは、次のことをお前が思えた時にできるようになる。すなわち、彼らがお前と同類であり、無知のため、心ならずも過ちを犯すということを。私は同類の者に腹を立てることも憎むこともできない。なぜなら、我々は足や手やまぶたや上下の歯ならびのように協力するために生まれたのだからだ。だから互いに対立することは自然に反する。憤り、背をそむけることは対立することである」

「これらのすべてが彼らに生じたのは、彼らが善と悪について無知だからだ。怒らずに、教え、そして示せ。さもなくば、耐えよ」

「復讐する最善の方法は、自分も同じような者にならないこと」

人間は助け合うために、愛し合うために生まれてきたのだから、善悪の分からない人に、正しいことを伝えるのは親切ですが、それが伝わらなければその時は自分が耐えるしかありません。しかし、それは前向きな「耐えること」で、今は難しいということで、サラリと流すことがコツです。

さらに彼は、こう言います。

「絶えず波が打ち寄せる岬のようであれ。岬は巌として立ち、水の泡立ちはその周りで眠る」

岬にように、ドンと立っていれば、絶えず打ち寄せてくる他者の言動に振り回されることなく、どのような時も自分の信念は決して揺らぐことはありません。
また、どのようなことが起こっても、時間が経過すれば、多くは消えていきます。
仏教の言葉で言えば、「諸行無常」です。
すぐには岬のようになれないかもしれませんが、そうでありたいと思い目指すことが大事だと思います。私も一緒に目指しますね。

しかし、心の目を大きく開いてみると、私たちには、いつだって、心の通う家族や友人、先にあの世に帰った人たち、大宇宙、大自然、神さまから温かな愛が届いています。その愛をしっかりと心で感じ、受け止め、感謝をして、いただいたその愛を他者に差し出す喜びも味わいながら、毎日を生きていきましょう。

でも、無理はしないようにしましょう。心軽やかに楽しくが、大事です。

2020年5月      鴨川 美津恵