◇福島第一原発事故の収束に向けての道筋
東京電力は4月に事故収束に向けての工程表を発表しました。
1.基本的考え方
原子炉および使用済燃料プールの安定的冷却状態を確立し、放射性物質の放出を抑制すること。
2.目標
「ステップ1」 放射線量が着実に減少傾向になっていること。(3か月程度を目安とする)
「ステップ2」 放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられていること。(3か月~6か月程度)
3.当面の取組み
当面の取り組みとしては、原子炉や燃料プールの安定的な冷却や汚染水の保管場所の確保、地下水の汚染拡大防止など。
◇緊急時避難準備区域の解除
「ステップ1」については、原子炉や燃料プールの安定的な冷却に達成したことから、7月19日に完了とされました。このようなことを受けて、原子力災害対策本部は避難指示の見直しを行い、9月30日に緊急時避難準備区域の解除を決定しました。これにより、南相馬市の20km圏外では妊婦や要介護者などの立ち入りが可能となり、保育園、幼稚園、学校等の休園、休校措置が解除になりました。ここから、汚染地域に設定された避難区域が名称を変えながらも一つ一つ取り外されていく過程に入ります。また、放射能に汚染された地域の環境回復に向けての動きは、放射能の放出が大幅に抑制される「ステップ2」の完了を待つことになります。
◇特定避難勧奨地点について
上図の緑の文字で書かれた部分は「特定避難勧奨地点」と呼ばれていて、「計画的避難区域」や「警戒区域」の外で、計画的避難区域とするほどの地域的な広がりはないものの、事故発生後1年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを超えると推定される地点を指します。避難に際して東京電力からの1人当たり月10万円の慰謝料、税や国民健康保険料、医療費の免除、避難先の住居費などの支援を受けることになります。これは一律で全住民が避難するものではないため、放射線量の測定値によって、隣近所で指定されるところとされないところがあり、それも微妙な差で決まってしまうことから、地域の人間関係に悪影響を及ぼすこともあって、あまり評判の良いものではありませんでした。南相馬市では142地点、152世帯が対象となっていましたが、平成26年12月28日に指定解除されています。
参考資料
東京電力プレスリリース2011年
緊急時避難準備区域の解除について(内閣府原子力災害対策本部)
特定避難勧奨地点について(首相官邸災害対策ページ)
東洋経済ONLINE「原発事故避難勧奨地点指定の理不尽」
経産省ホームページ