計画はどこで中断されているのでしょうか

現在、田ノ浦湾は埋め立てられることなく工事が中断しています。そこで、全体の上関原発計画において、現在がどの段階にあるのかを確認してみたいと思います。

現段階は、原子炉の設置許可申請を政府へ提出済みであり、その許可を待っているという状況です。福島第一原発事故後、経産省による審査は止まっています。

 これまでは、「地点選定」という段階で、主として”調査”だったので、工事の進捗率は実質0%ということは中電も認めているようです。しかし、原子炉設置許可が下り、工事計画が認可されると本格的な工事が始まります。今はその一歩手前まで来ているということになります。
 ただし、上関原発の場合はその原子炉本体の建設に着手する前に、田ノ浦湾周辺の埋め立て工事が必要となります。そのため、中国電力は2008年6月にに山口県に対し、「公有水面埋立免許願書」を提出し、同年10月22日に免許の交付を受けています。
この免許は、1年以内に工事に着工し、着工から3年以内に工事を完了させなければならないとされています。なんとか”着工”にこぎつけたい中国電力は2009年9月に工事海域を示す灯浮標(ブイ)を設置しようとしますが、祝島島民とその支援者であるシーカヤックの若者たちの阻止行動によって設置できないでいました。しかし、10月7日、灯浮標2基を祝島から見えない位置に投下し、即日、それを埋め立て工事着工として県に届け出ています。それからは、埋め立て工事を急ぐために大規模な人員を動員する電力会社とそれを阻止しようとする祝島島民とその支援者との攻防が田の浦の現場で展開されることになりました。2011年に入って、中電が過去最大の動員をかけて工事を強行しようとし、それに抵抗する祝島の人々が疲弊の極みに達しようとしていた矢先の2011年3月11日、東日本大震災と福島第一原発事故が起き、田ノ浦の工事は中断されて現在に至っています。

  埋め立て免許については、その期限が切れる直前の2012年10月、中国電力から免許の3年間延長申請が提出されました。当時の山本知事は判断を先送りし、2016年8月4日、後任の村岡知事は、本体着工のめどがつかない段階での埋め立てはしないよう電力会社に要請しつつ、免許の延長を認めて現在に至っています。
もし、国の原子炉設置許可が下りれば、ただちにまた埋め立て工事を再開する可能性は十分あります。中電は埋め立て工事着工をにらんで現場に至るまでの道路を整備し、トンネルも造って着々と準備を進めています。この免許の期限が切れる2019年には何かの動きがあるかもしれません。